精神分析とカウンセリングの違い ―メリット・デメリット―

心理カウンセラーになるには

近年では、心の病が社会問題として取り上げられる機会が多くなり、心理カウンセラーという職業の需要も増えてきています。

しかし、カウンセラーに興味はあるけれど、精神分析やカウンセリングといった方法は何が違うのか、疑問に思う方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は

について解説をします。

それぞれの基本的なことについて読んで頂いた上で、違いや、メリット・デメリットを比較しながら、理解して頂ければと思います。

精神分析って何?

(1)基本の考え

精神分析とは、人間の心が意識と無意識で構成されているという考えを基礎にし、精神疾患の治療を行う方法です。ドイツのジームクント・フロイトによって、創設されました。

人は生きていく中で、無意識的な心のしこりを持っています。そのしこりが大きくなると、苦しみを伴い、余裕を失くし、心の病に冒されてしまいます。

分析を受ける方(クライエント)が、分析をしていく中で自分自身の無意識の葛藤に気づき、それらを全て受け入れることで、心の平穏を保ち生き生きとした状態になることを目標とします。

(2)方法

精神分析は、他の心理療法とは一線を画す特別なやり方で分析を行います。
以下は、伝統的な精神分析の方法です。

  1. 寝椅子に横たわる
    分析家(カウンセラー)は、クライエントから見えない位置に座ります。
  2. 一回50分程度のセッションを週4~5日行う
  3. 自由連想(頭に浮かんだことをそのまま話す)を行う

クライエントの側に寄り添い、クライエントの心の状態や変化に思いを巡らします。
ときには、カウンセラーが思いついたことをクライエントに伝えます。

このような厳密な条件の中でセッションを行うからこそ、クライエントの心の世界が、話す内容やカウンセラーとの関係性に現れてきます。

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カウンセリングって何?

カウンセリングとは、言語的な話し合いで治療を行うものです。
「クライエント中心療法」の理論が基礎となっています。

(1)クライエント中心療法とは

クライエント中心療法とは、クライエント自身がありのままの自分を受け入れることを目指した治療法です。カウンセラーのスキルよりも、人間観と態度を重視します。
アメリカのロジャースによって考案されました。

(2)基本的な考え

クライエント中心療法では、問題が起こるクライエントは「自己が一致していない(自己不一致)」状態であると考えます。

理想とする自分と、現実の自分がズレてしまうことです。

例えば、親や周囲に「いい子」を演じるあまり、「いい子ではない自分」を抑えすぎてしまい、葛藤が生じる状況です。

人は誰しも人間関係を円滑にするために「本音を隠して」生きていますが、必要に応じて「本音」を使っていかないと、本当の信頼関係というのは築いていけません。

いい子でもあるし、そうでない部分もあると、ありのままの自分でいてもいいのだと実感することで、自らの力で成長をしていけるようカウンセラーは支援します。

(3)方法

カウンセラーはクライエントの世界をそのまま受け止め、自由で安全な人間関係の場をクライエントに提供することが必要です。

そのためには、テクニックよりも、まずカウンセラーの考え方・態度の条件が優先されます。
カウンセラーの基本的条件は以下の3つがあります。

1.共感的理解

人はそれぞれ違うので、誰に対しても共感できるわけではありません。
しかし、例えば、クライエントが「つらい」と言ったのなら、「なぜそう感じたのか」「どのくらい強くつらいと思ったのか」を聞いていくことで、「そのような状況なら、そう感じても無理はないだろう」と納得します。

共感的理解とは、想像力を用いて、相手が感じたことにカウンセラーが納得をする行為と言えます。

2.無条件の肯定的関心

人が他人に関心を寄せるとき、そこには「優しい」や「外見が良い」といった属性を見る場合がほとんどです。

カウンセラーは、カウンセリングに訪れたクライエントに対し、そのような条件を持たず、「その人自身」に関心を持ちます。

3.自己一致

「自己不一致」とは逆の状態で、理想の自分と現実の自分が一致している状態です。

自分との不一致の時は辛かったわ

よく頑張ったわね

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次に、基本的なテクニック3つ挙げます。

1.受容

頷きや相槌を行い、クライエントの話を受け入れます。クライエントに「この人はしっかり私の話を聞いている」という安心感を与えることで、自分の思ったことを正直に話せるようになります。

2.内容の要約

クライエントの複雑な話を、カウンセラーは頭の中で整理をして要約を行います。それをクライエントにも伝え、確認を行います。

3.明確化

クライエントが話の途中で言葉に詰まった際、「それはこういうことですか?」とクライエントの言いたいことを補います。

クライエントの中でしっくりくる言葉を言えれば、カウンセラーは「良き理解者」として信頼関係を築いていくことができます。

そうやはりスキルや知識はカウンセラーには必要ですね

カウンセリングと精神分析の違い

(1)技術の困難度

本格的に精神分析をしようとすると、物凄く時間がかかります。
なぜなら、公式の精神分析の資格は、入手するのがとても難しいためです。

精神分析の理論は複雑なため、知識を実践で役立てるには膨大な期間が必要であると考えられています。

一方、カウンセリングは複雑な理論を基礎としていないので、長い期間は必要としません。
しかし、簡単にできるというものではなく、あくまで実践と経験を重ねた技術であると言えます。

(2)指示的・非指示的

精神分析では、カウンセラーはクライエントに「思いついたことを話してください」と指示を与えます。

また、無意識に存在するトラウマについて、カウンセラーなりの解釈(こういうことが原因でトラウマになったのではないか)をクライエントに行います。
カウンセリングでは、こういった指示をクライエントに与えることはしません。

(3)過去の出来事の扱い方

精神分析は、無意識に閉じ込められた過去の出来事が、現在の問題症状を起こしていると考えます。ですので、過去に遡って解決を試みます。

カウンセリングでは、過去の出来事を扱いません。
クライエントから過去の話が自然に出ることはありますが、過去の出来事を探ろうとすることはしません。

それぞれのメリット・デメリット

(1)精神分析

メリットは、特定の精神疾患(神経症や自律神経失調症)に大変有効なことです。
また、無意識のレベルまで症状の原因を追求できるので、簡単なカウンセリングや表面的な症状を解決する心理療法が効かない場合に用います。

デメリットは、理論が複雑化し、多数の派閥があるため、症状の解釈の方法が無数にある点です。原因の追求に集中してしまうので、クライエントの治癒という目的に到達しにくくなる場合もあります。
また、精神分析は長期間行うことが前提なので、クライエントは経済的に余裕がないと行えません。

(2)ウンセリング

メリットは、比較的手軽に行える点です。

もちろん、カウンセラーとして実際にお金をもらいカウンセリングを行うとなれば、訓練と経験が必要ですが、シンプルな理論のため継続して実践ができます。

クライエントにとっては、寄り添ってくれるイメージがあるので、安心した雰囲気の中で話すことができます。

デメリットは、簡易な方法のため、未熟であっても行うことができる点です。

また、カウンセリングでは、カウンセラーからクライエントに働きかけることはしないので、「受動的で何もしれくれない」という気持ちになることもあります。

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カウンセラーになるためには

(1)大学院に行き、臨床心理士の資格を取る

数あるカウンセラーと言われる資格の中では、最も認知されており、就職にも有利になるのが臨床心理士です。
これは、文部省が認定している公的資格だからです。

しかし、資格取得までの過程は簡単ではありません。

大学では心理学、または心理学関連の学科を専攻します。その後、臨床心理士の資格認定を受けている大学院に入学し、卒業後は臨床心理士資格認定試験を受験します。

そこで合格して初めて、臨床心理士の資格をもらえます。

人を支援する、特に人の心を扱うことは、非常に重い責任があります。
心理アセスメントや心理療法などは、専門知識がなければできない仕事です。

大学で心理学の基礎を学び、大学院で応用・実践に徹することで、複雑な心のメカニズムを理解していくことができます。

また、研究活動や5年ごとの資格更新制度があるため、絶えず変わり続ける社会や人の心の問題にも対応することができます。

臨床心理士は壁が高いな~

時間もお金もかかるわね

(2)カウンセリングスクールに行き、認定資格を取る

カウンセリングスクールは、専門学校なので、最短2年で取得が可能です。
ただし、この資格は各スクールが独自に認定・発行するものです。

このように認定資格を取得し、活躍をされているカウンセラーの方がいるのも事実です。

「同じ境遇で苦しんでいる人たちを支援したい」という熱意を持った方であれば、経験を活かし、誰よりも当事者の気持ちを理解することができます。認定資格だけでも、十分に職業として働いていける可能性もあります。

精神分析とカウンセリングの違いを解説しました。
どちらも一長一短があります。
あなたに適していると思うほうをお勧めします。

もしあなたがうつを経験しカウンセリングで元気になった経験があるのであればカウンセリングを覚えるほうが自分自身のこととしてとらえやすくスキルも身に付きやすいでしょう。

心理カウンセラーになるには