対人恐怖症のカウンセリング 原因や効果 6つの対処法で治す

心理カウンセラーになるには

  • 「対人恐怖症は治りますか?」
  • 「心療内科と精神科どちらに行くべきですか?」
  • 「カウンセリングの流れってどんな感じですか?」

対人恐怖症はカウンセリングで治るでしょうか?

ここでは

現代では、対人恐怖症のある人は10人に1人であると言われています。特に日本では多いとされており、他人との関係性を尊重する素晴らしい文化がある一方で、神経質になりすぎてしまう人もいるようです。

特に、対人恐怖症の方へのカウンセリングについて触れている③対人恐怖症のカウンセリングの方法は、これからカウンセリングを行いたいと考えている方に、ぜひ読んで頂きたいと思います。

対人恐怖症とは?

対人恐怖症とは、人と接する場面で強い不安や緊張を起こし、「人から嫌がられないだろうか」「変に思われないか」と必要以上に恐れ、対人関係を避けてしまう精神の病です。

神経症の一つとして扱われています。

例えば、赤面恐怖(自分の顔が赤くなっているのではと過度に気にする)、視線恐怖(周囲からの視線を気にする)、自己臭恐怖(自分の身体から嫌な臭いが出ていると思い込む)、醜形恐怖(他人から見て特に変な所はないのに、自分の外見が醜いと思う)といったものがあります。

青年期に多く見られる症状ですが、これは思春期特有のものであり、一時的であることがほとんどです。

大人になるにつれて、症状は軽くなっていきます。
また、男性の割合が大きいと言われています。

日本特有の神経症と言われており、日本人の精神や文化、社会との関連性について注目をされています。これについては、次項で述べようと思います。

男性が多いんですね

男性の方が繊細かもね

counselor_img_0162

対人恐怖症の原因

(1)青年期

対人恐怖症が青年期に多いのは、第二次性徴が始まり、心と身体が急激な変化を遂げるためです。

親よりも仲間との関係性が強くなり、社会に参加していくことが課題としてあります。

「自分とは何者か」という自意識が高まり、周囲からの評価を過剰に気にします。正常な青年期の人でも、ある時突然、症状が出てしまうこともあり、それだけ思春期の衝撃は強いことがわかります。男性に多いことが特徴的ですが、最近では、社会と接する機会が増えてきた女性も増加傾向にあるという報告があります。

(2)日本独自の文化

日本の人間関係の中では「その場の調和」が重んじられてきました。

米国人のように直接的な言い回しはせず、相手の気持ちを察する、暗に示す、といった非言語的コミュニケーションを日本人は多く使います。

そこから相手の態度や自分への評価を理解しようとします。

対人恐怖症の人は、理想が高く、誰よりも優りたいという気持ちが人一倍強い一方、人から嫌われることを過度に恐れます。

そのため、過度に他人への配慮を行う態度が出てしまいます。家族という気のおけない人や全く知らない人よりも、顔見知りや近所の人といった、中途半端な関係を持つ人に対して起こりやすいです。

(3)個人の要因

何か「ショックな出来事」がきっかけとなり、症状が始まります。

例えば、学校の授業中に突然名前を呼ばれ、発表をするように指示されたが、緊張し声が震えて出来なかった、というような体験です。また、このような体験から「自分は変な声が出ているかもしれない」といった「誤った考え方」を自ら作ってしまい、発症の原因ともなります。

counselor_img_0163

対人恐怖症のカウンセリングの方法―効果と特徴―

対人恐怖症のカウンセリング方法について、ここでは3つご紹介します。

(1)エクスポージャー(暴露法)

エクスポージャーとは、暴露法と言われている通り、不安や恐怖に接近していく方法です。

恐怖を克服するためには、恐怖に立ち向かっていくことが必要です。
つまり、恐怖に慣れていくことで、恐怖が解消されます。

しかし、いきなり怖いものに触れることはしません。簡単な問題から難しい問題を解いていくように、斬新的に接近していきます。その具体的なステップは次の通りです。

1.治療のメカニズムを理解する

自分が恐れているものに近づくというのは、相当な勇気が必要です。

できれば避けたいと考えてしまうのも無理ありません。
これだけ勇気を振り絞って取り組む目的をしっかり理解し、励みにしていく必要があります。

不安や恐怖は、時間と接近した回数によって下がります。

これは、恐怖にさらされることで、「本当に生命を脅かすことではない」と脳が判断するためです。

また、心理学の実験においても、恐怖に近づくことで恐怖反応が収まることが証明されています。このように、科学的な根拠を頭の隅に入れておくことで、取り組んでいきやすくなります。

2.最終目標を立てる

目標を決めることで、恐怖を解消していく見通しを立てます。

目標を達成しようとすることで、モチベーションにつなげます。
小さい目標と大きい目標を立てます。

例えば、大きい目標が「複数の人がいる中で話ができるようになる」だったら、小さい目標は「一人の人と雑談ができるようになる」という感じです。

「自分にはできそうにない」と思わず、今の自分にはできなくても、最終的にこうなれば嬉しいな、と感じる目標を立てると良いです。

3.不安階層表を作る

どのような時に不安や恐怖を感じるのか、それが弱いものから強いものというように、順番ずつ挙げていきます。

さらに、一番不安が強いものを100点、それほど不安を感じないものであれば10点、というように、点数をつけていくとわかりやすくなります。

例えば、「会社でのコミュニケーションが不安」である人であれば、以下のように書きます。

  • 会社で複数名の人と雑談(100点)
  • 一人の人と少し長く雑談(70点)
  • 一人の話しやすそうな人と短い世間話(60点)
  • あいさつ(30点)
4.具体的な練習課題を作る

不安階層表から、今の自分が取り組めそうな課題を選びます。
大体不安が半分のもの、点数が50点くらいのものを選ぶと、丁度良いかもしれません。

例えば、あいさつ(30点)を選んだとします。

練習課題は、出勤時に顔を合わせた人に「おはようございます」と声をかける、もっと具体的に「10名に声をかける」と数字を入れると目標が明確になります。

慣れてくれば「もっと話しかけよう」というモチベーションにもなります。

もし、難しいと感じるのであれば、簡単な課題にします。例えば、はっきりとした声であいさつができないようであれば、「最低限相手に聞こえるような声で良いから、口を大きく動かし、目を合わせて会釈する」というように、自分なりにやりやすい課題を考えます。

5.課題を実行する

自分で設定した練習課題を実際に取り組んでみます。

ここで重要なのは、課題を行う前に決めた点数と、行った後の点数を記録し、比較することです。

すると、不安な状況に接していく中で、点数に変化があることが目に見えてわかってきます。

点数をつけていくことで、大きかった不安が小さくなっていくことが実感できます。自分が勇気を振り絞って頑張った形跡が確認できます。これを実感することで「怖かったけど次もできるかもしれない」というやる気につながります。

6.課題と治療の効果を肯定的に評価する

最後に練習の振り返りを必ず行います。課題が上手くできたら、自分を褒めます。
また、たとえ上手くいかなかったとしても、自分が挑戦したということを褒めます。
不安の点数がどんどん下がっていき、大体30点以下になったら、次の難しい課題を行ってみましょう。

(2)アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)

「アクセプタンス」とは、与えられているもの、という意味です。

例えば、感情、思考、症状、身体感覚のことです。
「今、ここ」で起きている体験のことを言います。

「コミットメント」とは、具体的な解決に向かう方法や訓練を通して、回復に効果のある行動をすることです。

つまり、「今ここの自分」に起きていること(感情や思考)を、善悪などの判断をせずありのままに受け入れ、回避や依存といった害になる行動ではなく、害にならない適切な行動を取れるようにするのが、アクセプタンス・コミットメント・セラピーです。

ACTでは、「価値」の確認が重要であるとされます。

特に「願い」についての確認に焦点を当てます。
心理カウンセラーはまず始めに「あなたは自分の人生がどのようなものであると言えますか」と尋ねます。

ここで、クライエントは生活における様々なこと(価値観)をリストアップします。

例えば、家族、仕事、友人関係、健康などです。
クライエントの基礎的な考え方を明確にしていくことが一つのステップです。

その人の持つ「価値」が特定できれば、具体的なゴールも設定しやすくなります。その人にしかない、かけがえのない価値観に合わせた人生を生きることが、最終目標となります。

例えば、対人恐怖症で会社の人間と上手くいかないから、もう行きたくない、会社を辞めたい、と言う人がいるとします。

その人に対し「あなたは、どのような願いを持ちますか。今の職場を辞めて、新しい就職先を探す気力はありますか。それまで、収入のない生活に耐えられますか。人間関係で苦しい思いをしているのであれば、少しでも楽に働ける方法を一緒に考えていくのはどうですか。苦しみが解消されれば、今のまま収入を得られて、さらに仕事へのやる気が出てくるということも考えられませんか」というように伝えます。

ネガティブな感情だけで判断せずに、その感情がなぜ起こるのかを分析し、心の受け止め方や捉え方でどうにかできないかを検討していきます。

そして、受け入れられる部分は受け入れるようにしていきます。
カウンセラーと慎重に考え出した「願い」通りにすることが、心の治療に役立つという考えが根本にあるので、その「願い」の実現を目指していきます。

なるほど、理由を明確にするんですね

そう、漠然としているとあまり良くないわ

counselor_img_0164

(3)森田療法
(1)森田療法とは

森田療法とは、日本人によって考案された日本独自の心理療法です。

日本における心理療法は、西洋から取り入れられたものがほとんどで、言語や文化、性格の違いによって、日本と合致するかは疑問に感じる部分もあります。

その点で、森田療法は特別であり、安心して行うことのできる療法であると言えます。
西洋では不安や緊張を悪いものとして排除しようとする傾向がありますが、森田療法ではネガティブなものとして捉えず、「不安や緊張は自然なものである」と考えます。

(2)対人恐怖症が起こる原因についての考え方

森田療法では、「気にしないようにしよう」と考えれば考えるほど、症状が悪化するとしています。

例えば、「人から嫌われているかどうか」を気にしないようにすればするほど、過剰に確認を取ろうとする行動が出てきます。

相手の表情をうかがう、相手を探ろうとしてちぐはぐな会話になってしまう、といったことです。

気にしないように避けることで、かえって注意が向いてしまい、堂々巡りになります。このような状態を森田療法では「とらわれ」と言います。この「とらわれ」状態が、対人恐怖症を引き起こしている原因であるとしています。

(3)森田療法で大切にしていること

まず始めに「気分はそのままにして、目的を持った行動をできるようにする」態度を身につけていきます。

不安や緊張にとらわれている人は、気分を重視した生活を送っています。

例えば、納期間際の仕事があるが、「やる気がでない」ため先延ばしにしてしまう、といったことです。

自分の気分によって行動してしまうので、やるべきことを出来なくなってしまいます。
ここで、気分に合わせた行動ではなく、目的に合わせた行動が取れるようにしていきます。

気分が良くても悪くても、締め切り間際の仕事が終わらなければ失敗、完成できれば成功、とします。達成しようと小さい作業をするだけでも、成功です。「目的を持った行動」を形成していくのが森田療法では重要とします。

また、森田療法では「あるがまま」の状態も重視します。

ここでの「あるがまま」とは、自分の気持ちに素直になる、という意味です。
森田療法で目指すのは、「気分・症状は生じたまま受け入れ(あるがまま)、しなければならないことをする」ことです。

あるがまま、とは「ありのままでよい」と何もしないことではなく、自分の症状を否定せず、肯定しつつ、やることはやる、というスタンスになります。

例えば、人と話すときに「自分は何か変なことを言ってしまわないか」と緊張してしまう人がいます。

普通なら、気にしないようにしようと、緊張を消そうとします。しかし、これを無理やりなくそうとせず、そのまま受け入れて、人と話すことに集中できるようにします。ネガティブな感情は無理やり押さえ込もうとすると、逆効果です。「あるがまま」の姿勢を心がけることで、気持ちの持ちようも変わってくるはずです。

(3)実際の治療

実際に、対人恐怖症を治したいから森田療法を利用するとなると、基本的に入院をする必要があります。

なぜなら、徹底的に管理された環境で治療に専念することが最も効果的だからです。

入院に抵抗がある方は、通院する方法もあります。
入院期間中は、毎日日誌をつけます。カウンセラーと対話を重ねながら、それを記録していくことで、自分に対する気づきを深めていきます。

入院は約1ヶ月です。その期間は次の4つの段階に分けられます。

counselor_img_0165

1.絶対がじょく期

一人部屋が割り当てられ、ほとんど寝て過ごします。
外出、メール、電話、面会といった人との接触は禁止されます。これは、余計な考えや雑念が出てきても、すべて「あるがまま」受け入れる訓練をするためです。

2.軽作業期

寝る、排泄するといった最低限の生活から一歩進み、外に出て花を見たり、風を感じたり、一人で静かに過ごす時間が許されます。不安な症状が出ても、それに流されないように過ごすことが目標です。

3.重作業期

ここから、寝る時間以外は常に何か行動をする生活になります。グループで清掃を行ったり、動物の世話をしたりと、忙しく身体を動かすようにします。趣味も自由に行えます。不安な症状が出ても、気にせず活動ができる訓練をします。

4.退院準備期

社会へ復帰するための準備期間です。通常の生活が送れるようになるまで、あと一歩というところです。少しずつ生活に慣らしながら、不安な症状と上手く付き合っていく訓練をします。

心療内科と精神科どちらに行くべき?

(1)心療内科

呼吸器内科、消化器内科といった内科の分野です。
ストレスなどによって身体的な症状が原因で起こる病気を専門としています。ですので、対人恐怖症に加えて、動悸や発汗、頭痛、腹痛などの身体的な症状がある場合は、心療内科を受診します。

(2)精神科

主に、心の病気、精神疾患を扱っており、不眠、幻覚、幻聴、抑うつなどの症状です。対人恐怖症の症状と一緒に、これらの症状が生じている場合は、精神科を受診します。

(3)どう違うの?

実は、看板に「心療内科」と掲げられていても、実際は精神科である場合がほとんどです。
これには、今でも「精神科」という言葉が聞きなれず、受診をするのに抵抗のある人が多いためです。

本来は、心療内科と精神科は別分野なので、診察を希望する際は、自分の症状と医師の専門の科が一致しているのかを見極める必要があります。

対人恐怖症は精神的な治療がメインとなりますので、医師との相性が重要です。HPを確認したり、電話で病院に問い合わせてみると良いかもしれません。

もし、一度受診し、あまり良い印象が持てなかったり、相性が合わないと感じたら、他の病院に行くことも検討してみる必要があります。

1つの病院が良いわけではないね

そうなんですよね~経験しましたよそれ

counselor_img_0166

自分は対人恐怖症かもしれない…6つのチェックリスト

自分ももしや対人恐怖症では…と不安に思っている方もいると思います。
ここでは、対人恐怖症のチェックリストをご用意しました。
これは、DSM-5という世界の精神障害の診断基準を元にしています。
自分が当てはまっているかどうか、ご参考にして頂ければと思います。

(1)
他人から注目されるような、で非常に強い不安や緊張が起こる社会的場面が1つ以上ある。例えば、初対面の人と話すこと、雑談、人前で発言をする、など。

(2)
自分の行動や態度が、他人から変に思われているのではないかとこわくなる。
例えば、他人から馬鹿にされ笑われていると感じる、恥ずかしく思う、他人に不快感を与えているのではと思うこと、など。

(3)
人と接する場面で、強い不安や恐怖を覚えながらも、ひたすら我慢をしている。

(4)
不安・恐怖がとても苦痛だと常に感じており、仕事をする上で大きな妨げになってしまっている。

(5)
これらの不安・恐怖を感じる状態が6か月以上続いている。

(6)
他の精神障害を持っておらず、他の障害の症状では説明できない。

counselor_img_0167

自分で治す方法

対人恐怖症は、一度気にしてしまうと悪循環に陥り、ジレンマに苦しめられてしまいます。

まず専門家に相談をするのが効果的だと考えられます。

しかし、「何とか自分で治したい」と思ったら、立派な意志を尊重し、自分で治す方法を試してみるのも良いと思います。

今回の記事に挙げた3つの治療法は、一人でも行うことができるものです。強い信念があるようだったら、根気と忍耐で、じっくり自分の症状と向き合ってみることも必要かもしれません。

すぐ行える療法は森田療法でしょうか?

気にしないように避けることで、かえって注意が向いてしまい、堂々巡りになります。このような状態を森田療法では「とらわれ」と言います。この「とらわれ」状態が、対人恐怖症を引き起こしている原因であるとしています。

やはり考え方思考の部分の原因は小さくないでしょう。

考え方だけではもちろんありませんが、1つの足掛かりで自分の考え方を見直してみるのも良い方法です。

心理カウンセラーになるには