ピアカウンセリング 意味や効果や方法 4つの効果とデメリット

心理カウンセラーになるには

  • 「ピアカウンセリングって何でしょうか?」
  • 「どんな効果があるんですか?」
  • 「ピア心理カウンセラーは仕事と出来ますか?」

ピアカウンセリングはそこまで世間には広がってません。ここでは

これらを解説します。

ピア・カウンセリングとは?

ピア(PEER)は仲間という意味です。
ピア・カウンセリングとは、障害を持つ人同士が率直に話し合い、お互いがカウンセラーとなって悩み事の相談に乗ります。

ピア・カウンセリングには次の2つの目的があります。

(1)悩みを共有し、共感できる仲間を持つことで精神面のサポートをつくる

一般の人からの理解が得られず、自分自身を否定しがちになってしまいます。
ピア・カウンセリングは、自分と同じ立場にいる、障害者の人々のみで行います。

同じ悩みやつらさを体験した人の話を聞くことで、本当の共感ができます。
また、「この人なら自分の話をわかってくれる」と本音で話すこともできます。

障害を持っていても、ありのままの自分でいることを認めてもらえる居場所を得ることで、自分で自分を受け入れられるようになります。

(2)自立生活のための知識・経験などの情報交換を行う

ピア・カウンセリングのカウンセラーは、同じ経験をしてきた仲間です。
そのため、障害を持ちながらも、自立して社会で生きていくための情報が得られます。
例えば、住宅や不動産屋との対応方法、年金、手当、経済的自立といったものです。

これは色んな事が共有出来て良いでしょうね

そうですね
同じ立場の人というだけ気持ちは共感しやすいでしょうね

ピア・カウンセリングの背景

ピア・カウンセリングは、1970年代初め、アメリカで活発になった自立生活運動がきっかけとなり始まりました。

自立生活運動とは、障害を持つ人自身が自己決定権・自己選択権を得て、隔離されることなく社会へ平等に参加することを目指すものです。

それまで、障害を持つ人々は、治療やリハビリテーションの対象としてのみ見られてきました。

そのような中で、障害を持ちながらも「地域で自分らしく生活していくことのできる支援」を確立すべく、障害を持つ人自身が立ち上がりました。

まず初めに、1972年、カルフォルニア州バークレーに「自立生活センター」が設立されました。

これは、重度の障害があっても地域で自立をして生活をしていくことのできるサービスを提供する施設でした。

日本には、1981年の国際障害者法が契機となり、アメリカの自立生活センターについての情報が入ってきました。

そして、1986年に日本で初めての自立生活センターの役割を担う、東京都八王子にヒューマンケア協会が作られました。

スタッフの過半数が障害者という体制で開始し、有料介助者の派遣サービスや自立生活プログラムの提供を行いました。

ピア・カウンセリングという言葉を発足当時から使い、重度の障害者の体験をキャリアとみなし、一定の研修を積んだ障害者として社会的に成り立たせようとしました。

1988年にピア・カウンセリング集中講座を開いたことがきっかけとなり、全国にピア・カウンセリングは広がっていきました。
現在は、ピア・カウンセリングの委員会も発足しています。

counselor_img_0132

ピア・カウンセリングの方法

「ピア・カウンセリング」と「一般のカウンセリング」のテクニックの違いは、ほとんどありません。

どちらにも共通しているのは「傾聴」です。
「相手の話を徹底的に聴く」ことが基本となります。

カウンセリングは経験を通して培われます。
なので、この方法通りにやれば上手くいく、というものではありません。
しかし、一つ一つの手法を意識して行うことで、カウンセリング力の向上が期待できます。

ここでは4つの方法について説明します。

(1)質問

カウンセリングの中で「質問」は重要な要素です。
相談者について知りたいことがある場合に行います。
下手をすると、圧迫感があるものになり、相談者を傷つけてしまうことがあります。
正しい質問の仕方を身につけて、必要な情報を得られるようにしましょう。
質問の種類は次の3つです。

「はい」「いいえ」で答えられる質問

YesかNoで答えらえる質問なので簡単です。しかし、あまりに多用すると尋問のようになってしまう恐れがあります。回数には気を付けて行いましょう。

説明をうながす質問

YesかNoでは答えられない質問です。
例えば「あなたが苦手だと思う人は、どのような人ですか」といったように、説明が長くなる答えを言います。相談者は自分の中から答えや言葉を探し、深く考えることができます。
質問をされて初めて知る自分への理解や考えに気づくこともあります。
そのため、対話に奥行きがでます。

選択肢がある質問

いくつかの選択肢から答えを選んでもらう質問です。<br />
「あなたがその人を苦手だと感じるのは、性格ですか。それとも何か具体的なことをされて嫌になったのですか」というように、相手の気持ちを整理していくために用います。

この質問をする時は、相手についての全体像を把握しておく必要があります。
相手への理解が不足していると、選択肢の幅が狭く、余計な情報を引き出すだけになってしまうからです。

(2)アドバイス

ピア・カウンセリングでは「話を聴くこと」が基本姿勢ですが、「アドバイス」を行う場合もあります。

ここでの「アドバイス」は、助言にとどまらない幅広い意味をもったものです。

ピアカウンセリングを行う人たちは、社会で生きていく上で何らかの困難を抱えており、具体的な対処法を知りたいと考えています。

そのような時、「同じ経験をしてきた」ピアカウンセラーは、必要な情報を与え、提案をすることもあるのです。
アドバイスの仕方には、次の3つがあります。

「私も」と共感しながらのアドバイス

相手と同じ経験をしたことを伝え、具体的にどうしたのかを言います。
例えば「私も職場で上司と上手くいかなくて、○○さんや○○の機関に相談をすることで改善したよ」という言い方をします。
共通の問題を抱えた人同士でした分かり合えない、対等なアドバイスを提供できます。

提案

「たぶん」「もしかして」というような、押しつけがましさをなくす言葉を付け足してアドバイトをします。少し責任のある言い方になります。
例えば「たぶん、お昼休みとか時間が空いた時に、同僚の人に相談してみたら良いのではないか」という声掛けです。

おだやかな命令

「提案」よりも少し強いアドバイスです。
相手が緊急性のある状況にいる場合に用います。「なぜそうする必要があるのか」をわかりやすく相手に伝えておくと、納得感があり受け入れやすくなります。カウンセラーは、アドバイスの内容とその理由を明確にし、責任を持っておくことが大切です。

(3)間のとり方

カウンセリングの中で「間」というのは、様々な役割を持ちます。
間のとり方について、次の3つを説明します。

「間」のある話し方

相手の話を注意深く聴く場合、自分の気持ちを確認したい時に用います。
間を入れることで話題を変えることも可能です。
このように、間というのは会話の中で意味を持つものなので、「話が途切れてしまう」と焦る必要はありません。また、カウンセラーも相談者が「深く考えている」時の間を大事にし、何か言いたいことがあっても言わずにいる我慢をしましょう。
相手の発言を辛抱強く待つ努力をします。

「間」のない話し方

情報・意見交換をする場合は、間がない方が効率的に行えます。「悩みや気持ち」を聴く時よりも、何か具体的な情報を相手が知りたがっている時に用います。

割り込み

割り込まざる負えない状況になった時に行います。
例えば、ある人の話が長くなり他の人の話が聴けなくなってしまう、話の内容があまりにもズレてしまっている、言っていることがよくわからない場合です。
「ちょっと引っかかること」がある時に、割り込んだ理由を相手に説明し納得をしてもらえれば、よりスムーズな会話が行えます。

(4)反映

相手が言った言葉をそのまま返すことです。
ただ単にオウム返しをすれば良いのではなく、相手に対して理解と共感が必要です。

例えば「最近、上司から理不尽な文句を言われました。とてもつらかったです」と相談者が言えば、「理不尽な文句を言われたのですね。それはとてもつらい思いをしましたね」と投げかけます。

共感を持ちながら反映を行うことで、相談者の不安やさびしさを減らすことにつなげられます。
また、同じことを繰り返すことで、相手の鏡となる役割も果たします。
自分を客観視することで、新しい自分を発見できることもあります。

counselor_img_0133

効果とデメリット ―上手くいかないときは―

ピアカウンセリングの効果は次の3つがあります。

(1)自分の気持ちが楽になる

障害を抱えていると「自分だけがこんな思いをしている」という気持ちにとらわれてしまいます。

しかし、ピアカウンセリングを行えば自分と同じ境遇の仲間に出会うことができます。

今までつらい体験をしてきた人にとって、仲間がいるということは何よりの心の支えになります。

また、自分を受け入れることができれば、前向きな気持ちで生きていくこともできるようになります。

(2)気づきが得られる

ピアカウンセリングでは、自分が話したことに対して意見がもらえます。
今まで自分の気づかなかったことを指摘してくれたりするので、「自分にはそういう面があったのか」と新しい自分を発見できます。

また、他の人の話を聴くことで、それまで考えたことのなかったアイディアや知らなかった知識をもらえます。

(3)コミュニケーションを学ぶことができる

普通の人と話す時には、緊張してしまい、誤解をされてしまう経験もあったと思います。

しかし、同じ経験をした仲間の中では、ありのままの自分を出しやすくなるのではないでしょうか。

普通の場面ではコミュニケーションを取ることに煩わしさがあったのに、自分を受け入れてくれる場所では安心して話すことができます。
自分のペースでコミュニケーションが取れるので、苦手意識があった人でもゆっくりと学んでいくことができます。

上手くいかないときは上記を意識してみるのはおすすめです

counselor_img_0134

ピアカウンセリングのデメリット

(1)専門家がいない

ピア・カウンセラーはこころの専門家ではありません。
なので、心理療法や心理アセスメントといった、専門性が必要となる技術は持ち合わせていません。
専門的な観点からの支援は受けにくくなります。
それぞれの人が体験した範囲内でしか対応できません。

(2)客観的な評価がしにくい

ピア・カウンセリングでは、同じ経験を持った仲間同士が集まります。
親しさがあるゆえに、客観的な評価が得にくいと考えられます。

(3)仲間への依存を高める

常に仲間からの評価を得ることで、自己評価を高めている場合があります。
仲間からの評価がないと、行動できない、自信が持てないといった状態になることもあります。

ピア・カウンセリングをしていても、上手くいかない場合もあります。全員がカウンセリングについて知識があるわけではないので、当たり前です。

常に自分の行動に対して、注意深くする必要があります。

例えば、ある参加者の意見に賛同できず、問い詰めたり、批判をしたりして、上手く話が進まなかったとします。感情的になっていると、自分も周りも見えなくなってしまいます。

まずは、自分の状態を把握するように心がけましょう。
自分は何に納得がいかなくて、どこに不満を持っているのか。それでも上手くいかない場合は、経験のあるピア・カウンセラーの人に相談をしましょう。

実践する上で重要なルール

ピアカウンセリングを行う上で、重要なルールがあります。
ここでは次の3つについて説明します。

(1)批判や否定をしない

徹底的に相手の話を聴きます。
相手に対して批判や否定は行いません。話す方は、相手が受け入れてくれることに安心感を持ちながら、正直な気持ちを話したいと考えています。
批判や否定は、相手に対し拒否の態度を示すことになるので、行わないようにします。

(2)相手の話に対し「その時どういう気持ちだったの」と問いかける

何かつらい体験をした時の話を聴いた場合、その時の相手の気持ちがどういうものであったか、問いかけてみるのも良いでしょう。
苦しくて押し殺してしまった感情があるかもしれません。
安心できる場所でネガティブな感情を吐き出すことで、気分がすっきりすることができます。

(3)相手と同じような経験をしたことがあれば「私もそうだった」と共感する

自分のことを理解してくれない人が周りにいた場合、共感をしてくれる人というのは、大きな心の支えになります。
また、反応をすることで「あなたの話を聴いていますよ」と表すことができます。
特につらいことや苦しい経験だった場合に、共感を示すことで相手の気持ちが軽くなることができます。

これは通常のカウンセリングにも通じる事がありますね

一般のカウンセリングとの違い

(1)専門性

デメリットについての部分でも触れましたが、ピア・カウンセラーは「専門家」ではありません。心理カウンセラーの資格がなく、誰にでもなれるものなので、専門性が必要とされる心理療法や心理アセスメントといった方法は使うことができません。

(2)カウンセラーは当事者であるということ

カウンセラーは、障害を持った経験のある当事者です。
なので、相手に対し深い理解と共感を持って接することができます。参加者は、経験のあるカウンセラーに対し、安心と共感を持って話すことができます。

このように、2つの違いがありますが、一般のカウンセリングとピアカウンセリングはどちらが良いというものではありません。参加者の悩み、考え方、性格によって、カウンセリングは変わってくるからです。
どちらかにかかわらず、カウンセラーと参加者の「相性」は重要な要素になります。

また、どちらも基本的には「傾聴」を行います。
参加者は自発的に新しい考えや洞察にたどり着き、自らの問題に主体性を持って取り組んでいくことが目標となります。

ピア・カウンセラーは仕事があるの?

まず、ピア・カウンセラーとして働くのに特別な資格は必要ありません。
「自分自身の経験・体験」があれば、誰でもなれます。

ただし、カウンセリングの訓練は必要です。

民間の団体がピアカウンセリングーの養成講座を開催していたり、通信講座があるので、積極的に利用します。

また、ピアカウンセリングを専門とする職種はないので、それだけを職業にするのは難しいのが現状です。

無償のボランティアで働いているのがほとんどであるようです。

しかし、障害者の方自身が国家資格(社会保険福祉士・精神保健福祉士など)を取得し、相談支援を行うことは可能です。

この場合、ピアカウンセリングの業務は一部に限られます。

また、職業としてかかわるので、重い責任や他の仕事(実際の手続きや他の機関との交渉)が増えることになります。

counselor_img_0135

自助グループとの違いは?

自助グループは英語だとSelf Help Groupと訳されます。
生きていく上で何らかの困難や問題を抱えた人が、同じような問題を持った人・家族・遺族と自発的なつながりで結びついた集まりのことです。

専門家にグループの運営を任せず、あくまで当事者たちが独立しているのが特徴です。

自助グループが扱っている問題は、アルコール・薬物依存症、心身疾患・障害、セクシャルマイノリティ、犯罪被害、労働問題、ひきこもりなど多岐に渡ります。

ピア・カウンセリングと自助グループはとても良く似ています。

あえて違いを指摘すると、その背景にあります。
自助グループは、アメリカのアルコール依存症者の間で生まれました。
上記にあるように、様々な嗜好に悩む人たちによってグループが形成されています。

一方、ピア・カウンセリングは障害者の権利を獲得する運動の中で生まれました。

ピアカウンセリングは障害者の人同士のカウンセリングの場というだけでカウンセリングという観点から考えると大きな違いはありません。
基本の姿勢は傾聴。共感。
これは通常のカウンセリングでも重要なポイントです。人は傾聴や共感をされるだけで気持ちが楽になったり自分の詰まっていた思いが言葉として伝える事が出来たりします。

心理カウンセラーになるには