カウンセリングとは 心理学カウンセリングの定義 セラピーとの違い

心理カウンセラーになるには

ここではカウンセリングとはについて解説します。

これらについて解説します。

カウンセリングとは

カウンセリングについて初めて学ぶ人のために、カウンセリングとはどういうものか、どういった考え方に基づいているものかを見ておきましょう。

カウンセリングを受けようと思う人は、話すことによって何かを得ようとしてカウンセリング・ルームを訪れます。

話すことによって、自分の持っている不安感を少しでも少なくし、それによって自信を回復させ、自立心や自主性という、本来私たちが持っている力を取り戻したいと願って訪れるのです。

カウンセリングとは、悩みや苦しみを聞いてあげること、と理解している人が多いと思います。

今の段階ではそれで結構ですが、事典の定義を紹介しておきます。

「カウンセリングとは言語的及び非言語的コミュニケーションを通して、行動変容を試みる人間関係である」

(國分康孝編「現代カウンセリング事典」)

この定義では、カウンセリングは、行動が変わることを期待する人間関係だといっております。

行動と言っているだけで、悩んだり苦しんだりしていることに限定しているわけではありませんので、元気な人がもっと元気になるように行動が変わることもカウンセリングの中に入ると考えられます。

どのようにして行動が変わるのか、と言えば、「コミュニケーションを通して」と言い、かならず変わるかと言えば「試みる」と言っています。

コミュニケーションの良し悪しで、行動は変わったり、変わらなかったりするということを暗に示しているようです。

このことから、カウンセリングを学ぶということは、相手の行動が変わるような、影響力のある良いコミュニケ-ションができるようになること、ととらえることができます。

また「言語的及び非言語的コミュニケーション」と言っていますから、そのコミュニケーションは、口頭で行うだけではなく、しぐさや表情、あるいは姿勢や態度などを含めた総合的なコミュニケーションであると考えられます。

「カウンセリングは悩みや苦しみを聞いてあげること」と理解していると、聞くだけなら自分にもできると思うかもしれません。

しかし、「行動が変わるようなコミュニケーションができるようになる」と、心理学に根ざしたいろいろな聴き方、応え方を専門的に学ぶ必要が出てきます。

なお、行動が変わると言っても、どのように変わってもよい、というわけではなく、責任ある自立した人間として好ましい行動に変わること、が求められています。

カウンセラー自身も好ましい行動ができるように常に努力を続けていく必要があります。

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現場でのカウンセリング活用方法

前項のような効果のあるカウンセリングは、仕事の現場で次のように活用されています。

1)互いに行うピア・カウンセリング

ピア(peer)とは「仲間」「同僚」を意味しますので、ピア・カウンセリングとは職場や学校で仲間同士が行うカウンセリングのことを言います。

日本ではまだカウンセリングを、精神的な障害を持った人が受けるもの、と考え敬遠する人がいますが、ピア・カウンセリングは同じ仲間同士で行いますので気安く話せる、同じ環境にいるので話が通じ合うというメリットがあり、広まっています。

ただし、よかれと思ってしたことが、知らずのうちに相手を傷つけていた、ということもありますし、内緒にしたかったことがいつの間にか噂となって広まっていた、ということもあります。

そのため、現場でカウンセリングの技法や守秘義務について、きちんと学ぶ人が増えることが望まれているのです。

2)上司と部下にはさまれた中間管理者の悩み解消

日本は急速な少子高齢化や国際化などの影響で価値観が多様化し、長引く経済的不況もあって、仕事の現場ではさまざまな問題を抱えています。

特に、上意下達型で利益至上主義の上司と、人から指図を受けるのが嫌いで、楽しくない仕事はやりたくない部下との間にはさまれた中間管理者は、それらのあつれきを一手に引き受けて、悩みが尽きることがありません。(サンドイッチ症候群と呼ばれています。)

カウンセリングの効果の項で述べました「人間関係の改善」や「職場の活性化」、「生産性の向上」は、まさにこうした中間管理職の悩みに真正面から応える対策になっているのです。

多くの職場で職員研修や管理職研修にカウンセリングあるいは、そこから派生したリスニングやコーチングなどの研修が行われ、成果を上げています。

なかでもリスニングは、カウンセリングの初期段階に使われる傾聴技法が中心になっていて、効果が高いものです。

中間管理者がリスニング能力を身に付けると、心に問題を抱えた人が早く見つかり、重い症状になることを防ぐことが出来ます。

中間管理者の手に負えないときは、専門の心理カウンセラーを紹介することによって早期対処が可能となり、中間管理者の悩みは解消されるというわけです。

(注)コーチング:対象者のパフォーマンス向上を目的とするコミュニケーションによる支援スキルのこと

(PHP文庫「自分を伸ばす『実践』コーチング」による)

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心理療法とカウンセリングの違い

近年では、心理療法(セラピー)は治療的概念、カウンセリングは相談的概念が強いとされがちです。精神科医によってなされる場合は精神療法(心理療法)、臨床心理士などによってなされる場合はカウンセリングと位置づけておきます(※1)。

心理療法には、芸術療法・認知行動療法・内観療法など様々なものが数多く存在します。

詳しく学んでいく中で、中には聞いたことのある療法もでてくることでしょう。

どの療法も、専門とする人間のそばで・継続的に・少しずつ行われることが重要になってきます。
心理療法は心理学という統計を元に、客観的な数値からみることのできる効果をあげている手法です。

人間の心理面に大きな影響を与えるので知識のある人間が正しい使い方で用い、良い方向に向かうことを前提に利用されていますが、反面、知識の乏しい人間が行うと悪影響を及ぼすことになりかねません。

一方で、カウンセリングという手法は一人ひとりに合わせた内容でなくては成果はあげられません。

こちらも専門とする人間のそばで・継続的に・少しずつ行われていくことが重要となっていますが心理療法との違いは、数値という客観的なものさしでは測れないところにあります。

カウンセリングを受けたからといって効果がいますぐ出るわけではないので、クライアントにも辛抱強くなってもらうことを前提とします。

また、カウンセリングをする側の人間とクライアントとの相性も結果に大きく影響してきます。
知識の有無ももちろんですが相性が悪いことが理由でなかなか結果がでないといったこともあるため、年単位で行っても疑問に思う場合は、カウンセリングを行う側が交代することも考えておいたほうが良いでしょう。

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流れや最初にすること

カウンセリングを開始するにあたっての流れを明示しておきます。

1)簡単に質問を設けてそれに答えてもらう

まず依頼者(以下クライアントと表記)に基礎的なことを訊きましょう。

家族構成や学歴などです。
質問紙を用意しそれに沿って回答してもらうのがベターです。

答えたくないことには答えなくてよいという問題を設置し、その旨をきちんと伝えるようにしましょう。

例えばクライアントが話したいと思っていることやそれについてどう話を聞いてほしいかといった希望についてです。

クライアント自身が自覚していないところに問題がある場合やクライアントが話したくない場合もあるので、それらも回答からみてとれるように設問するよう心掛けます。

またこの時点で、貴方の話した内容は誰にも話しませんよと明示しておくことが大切です。

2)実際に面談に入る

面談に入る際はまず、クライアントの好きな場所に座ってもらいます。
そしてカウンセリングを行う側は、クライアントの正面より90度の位置に座るようにします。

正面に人が座ると緊張が増すので、それを少しでも防ぐためです。

また信頼関係(ラポール)を早く築き、落ち着いて話せるようにという配慮にも繋がります。

もしもクライアントの話を書き留めるのであれば、なるべく相手の視界に入らないようにします。

例えばテーブルを置き、そのやや下で書くようになどです。

また、クライアントの気持ちの理解と共有に努め、もしも自分だったらこう考えますが、貴方のこの時の気持ちはどうだったのですか?などと訊いていくことも大事です。

その際、きちんと相手の目を見て話すようにしましょう。たとえクライアントが全く目を合わせようとしなくとも、貴方の話をちゃんと聞いているよ、という合図に繋がります。

3)内容を踏まえ医師と相談・紹介

クライアントの話の内容を踏まえ、専門の医師と相談します。
そして場合によっては、クライアントを医師に紹介します。あくまでも本人の意思を尊重することが重要です。

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カウンセリングを行う上での心得

カウンセリングを行う側は、幾つかの心得を常に持っていなければなりません。それは、

1)自己決定権の保証・接近権の保証・伝える義務の遂行(※1)、
2)またその他諸々の倫理思考の保持

です。

昨今、プライバシーの保護が叫ばれていますが、カウンセリングを行う上ではクライアントが他人には話せない話を聞くことも多々あります。

その場合の話の内容の守秘義務はもちろんです。

また、クライアントから“この人になら話せるだろう”と信頼を寄せてもらうのは、ファーストステップとしてとても重要です。

ラポールを築くためにも、相手に合った心の距離の取り方、そして具体的身体的な距離の取り方を、カウンセリングを学ぶ中でしっかりと学んでください。

※1:参考文献氏原寛・成田善弘1999『カウンセリングと精神療法』培風館

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