臨床心理士と精神科医 カウンセリング方法、費用などの違い

心理カウンセラーになるには

  • 「精神科医のカウンセリングって臨床心理士とどう違うんですか?」
  • 「臨床心理士のカウンセリングは保険適用されますか?」
  • 「精神科医と臨床心理士とではアプローチの仕方が違うんですか?」

臨床心理士と精神科医の違いについてカウンセリングを希望している人は疑問に思う事は多いでしょう。ここでは

これらを解説します。

精神科医と臨床心理士の違い

(1)仕事内容

精神科医と臨床心理士の最大の違いは、「薬の使用があるかないか」です。

精神科医は、「病気を治療する」という観点から、診断名をつけて投薬を行うことが仕事の中心になります。

一方、臨床心理士は、治すというよりも「クライエントが成長できるように支援する」というスタンスで仕事を行います。

薬の使用は一切しません。

精神科医は患者の話を聞いて薬の処方を判断し、臨床心理士は話を聞くこと・心理検査で支援を行うことが、それぞれの役割になります。

(2)働く場所

精神科医は、自分で開業した医院や病院、心療内科、メンタルクリニックで働きます。
心療内科は、基本的に内科医の分野ですが、精神科医が在籍していることが多いです。
未だに「精神科」という名は敷居が高く感じる人が多いことが理由です。
メンタルクリニックも同様に、心療内科と精神科医がいます。

臨床心理士の職場は、

  • 医療分野(精神科・小児科、精神保健福祉センター)
  • 産業分野(職業安定所・障害者職業センター)
  • 福祉分野(児童相談所・老人福祉施設)
  • 教育分野(学校・予備校)
  • 司法、法務分野(家庭裁判所・少年院)

と多岐に渡ります。

(3)給料

精神科医の給料は、年収で平均1200万円と言われています。
これは、医者の中でも眼科医の次に高い年収です。
うつ病などの精神病を持つ人の増加とともに、開業をする医師が大勢出てきたことが背景にあります。

一方で、臨床心理士の年収は、200~1000万円とかなり幅があります。
開業をしてメディアなどで話題になり高収入を得ている人もいますが、ほとんどが300万円前後かそれ以下であると考えられます。

社会から必要とされているわりに求人が少なく、仕事を掛け持ちで行っている人がいるのが現状です。

掛け持ちの場合は非常勤として働くことが多いため、アルバイト同然の金額をもらったりしています。

例えば、学校で学生相談を行うスクールカウンセラーです。
フルタイムで入ることは少なく、契約も1年限りという場合がほとんどです。

ただし、大手企業で産業カウンセラーや公務員として働くとなると、安定した収入がもらえます。

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(4)知識

精神科医は、医師の資格を持っているので、精神医学についての幅広い知識があります。
また、薬の処方を行うため、薬の効果・副作用についても熟知しています。
しかし、大学の医学部でカウンセリング・臨床心理学を体系的に学ぶ機会はほとんどありません。

そのため、個人でカウンセリングを習得し、臨床心理士の資格を併せ持っている医師もいます。

一方で、臨床心理士はカウンセリングについて専門的な訓練を受けています。
しかし、精神科医のように医療的な治療を行えず、投薬をすることもできません。

(5)保険適用の有無

精神科では、保険が適応されます。
なので、支払い金額は3割負担となります。

さらに、条件に当てはまる人には「自立支援医療」という制度が利用できます。
こちらを使用すると、通常3割負担の医療費は1割まで引き下がります。

「精神科に長期間入院する必要のある人」が条件となります。
例えば、統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病)、精神遅滞などがあります。
これ以外でも、重度の症状がある人も適応できる可能性があります。
ただし、所得が多い場合は審査に通らないこともあります。

精神科医のカウンセリング方法と費用、対象、所要時間、診察の有無

(1)カウンセリング方法

基本的にクライエントの話を聞くカウンセリングのみになります。
様々な種類のカウンセリングを行うのは、臨床心理士の仕事です。

「薬での治療」と「話を聞く」ことで治療を行います。
「話を聞く」のは「病気の症状」に関することがメインなので、臨床心理士のカウンセリングのように長時間は行いません。

(2)費用

精神科では、診察時間、検査、処方箋などによって、料金は大きく変わってきます。

大体、初めての受診の場合は3000~6000円前後です。
二度目以降になると、2000~3000円前後となります。
医療機関なので、料金の算定に保険点数というものを使用します。
保険点数は1点が10円です。

例えば、一般的な診察料ですと、初診が282点、再診が72点となります。
薬を処方する際にかかる処方料は、42点です。
このように、点数として料金は増えていきます。

(3)対象

検査をしても身体に異常が見つからない人が対象となります。
うつ病、統合失調症、心身症などです。

(4)所要時間

初めての受診以外は、約5~15分と短時間で終わります。
また、病院にもよりますが、待ち時間が長くなることがあります。

(5)診察の有無

病名をつけることがほとんどです。
精神科医は薬の処方が出来ます。
なので、薬による治療が必要、または強く希望する場合は精神科医に相談します。
一方で、「ただ話をするため」の長い時間は持てず、心理検査ができません。

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良い病院の判断基準

(1)宣伝が多い病院は避ける

実績がある病院は、日々の対応に手一杯です。
そのため、新聞やネット広告、宣伝を多く行うことはありません。
宣伝が多い=信頼できないと考えられます。

(2)漢方薬の処方をすすめる

正しい診断が困難な場合や、薬を使用することに抵抗があると使われる傾向にあるようです。
しかし、漢方薬は副作用が少ないですが、主な効果も期待できません。

(3)初診の予約が当日に取れる

信頼されている病院だと、予約をするのは困難になります。
当日に連絡をし、予約が取れてしまう場合は、よっぽど珍しく人がいないか、あまり良くない病院だと思うのが良いでしょう。

(4)スタッフを調べる

病院によっては医師と看護師しかいない所がありますが、その場合は短時間の診療と薬物療法しか期待ができません。

もちろんこれらも大切ですが、症状を持つクライエントのためには、家族関係、職場、金銭面でのサポートもかかせません。

なので、例えば精神保健福祉士やソーシャルワーカー、さらに臨床心理士が在籍しているかを確かめるのが良いでしょう。

ちなみに、ネットで調べた上で公的機関(保健所・医療センターなど)に電話相談や相談窓口で尋ねると信頼性のある情報がもらえます。

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臨床心理士のカウンセリング方法と費用、対象、所要時間、診察の有無

(1)カウンセリング方法

簡単に、いくつかのカウンセリング方法を紹介します。

1.来談者中心療法

「人間は誰でも、自らの中に成長し、実現したいという気持ちを持っている」という考えを根本としています。カウンセリングを作った理論と言えます。
心理カウンセラーは「自己一致」「無条件の肯定的関心」「共感」という態度を持ち、クライエントの話を聞きます。

2.認知行動療法

「思考のゆがみ」を修正することで、非合理的な考え(例:私はいらない人間だ)をなくします。思考と行動からアプローチをするので、短期間のうちに効果が出ます。主にうつ病の人に用いられています。

3.社会技能訓練

ソーシャルスキルトレーニングとも言い、社会で適切に過ごしていくための訓練です。障害がある人が社会で生活していく・働いてく場合に行います。ロールプレイを通し、人と関わる方法を学んでいきます。主に集団で実施されます。

4.精神分析を用いたカウンセリング

長椅子に寝そべりながら、思いつくことを自由にすべて話します。カウンセラーは時々質問をしたり、解釈を行います。「無意識」があるものと仮定し、人の深層心理に迫ります。

5.分析心理学を用いたカウンセリング

夢を分析することがメインとなります。人類が共通して持つ無意識があると仮定し、それが夢にイメージとして現れるという理論です。現実的な問題より、個人が抱えている心の深い悩みに対して用いるカウンセリングです。

カウンセリングの詳細はカウンセリング資格と心理療法、種類の一覧と難易度をご覧ください。

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(1)費用

1回50分の費用は、10000円前後します。
都市部では高く、地方では安い傾向があります。

また、公的機関の公的サービス、無資格のカウンセラー、大学のカウンセリングは安く料金が設定されています。

公的機関では、例えば、厚生労働省ですとほとんど無料の相談事業を行っています。
仕事や生き方といった分野ごとに実施されていたり、電話で相談ができたりします。

大学の相談室では、大学院生が訓練として行っていることが多く、安めに設定されています。
低価格ですが、大学教員から指導を受け、院生は「助けになりたい」と熱心な気持ちで臨んでいるので、質の高いカウンセリングが期待できるのでおすすめです。

(3)対象

「話を聞いてもらいたい」と思える人であればすべて対象です。

(4)所要時間

カウンセリングの期間は、クライエントの症状や状態、カウンセラーの力量、カウンセリング技法によって異なります。

例えば、重度の精神疾患である統合失調症の人と、職場の上司へのストレスを訴える人では、カウンセリングの内容や回数が違ってくることがわかります。

また、カウンセリングには流派があるので、それによっても違ってきます。

最も重要なのは、カウンセリングの目標をどこにおくのかであると考えられます。

例えば、先ほどの例でいうと、統合失調症の症状をなくしたいのであれば、数十年かかります。
しかし、病気を持ちつつも、就職をするという目標であれば、数年で済むかもしれません。

最終的なカウンセリングの到達地点は、「悩みがすべて解決したわけではないが、自分で答えを見つけていけるだろう」と思えることです。
自分自身の問題に自分で取り組もうという意欲が出てくれば、カウンセラーのお手伝いも終了します。

(5)診察の有無

病名はなるべくつけません。

臨床心理士が使う心理検査

臨床心理士が行う独自のものとして、心理検査があります。
精神科医からの視点で判断が難しい症状のクライエントがいる場合、臨床心理士は心理検査を行います。
心理検査には、大きくわけて2種類あります。

(1)知能検査

知能についての機能を検査するためのものです。
代表的なものにウェクスラー成人知能検査があります。
子どもから高齢者まで使用することができます。
例えば、知識・算数・単語といった言語に関するもの、絵画完成・記号探し・組み合わせといった動作に関する作業を行います。

(2)人格検査

もう一つが、個人のパーソナリティーを測る人格検査です。
これは「質問紙法」と「投影法」に分かれます。
質問紙法では、人格にある傾向(不安の強さ・抑うつの度合・内向性/外向性など)を測ります。
「はい」「いいえ」や3段階で評価をし、答える形式です。
投影法では、絵やインクのしみからその人の心理を読み取る検査です。
例えば「ロールシャッハテスト」は左右対称になったインクのしみを見て、それが何に見えるのかを答えます。より深いクライエントの心理を知りたいときに実施されます。

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良い臨床心理士の判断基準

(1)本当に話を聞いているのかどうか

カウンセラーが本当にあなたの話を聞いているのか、反応を確かめてみてください。
親身になって聞いてくれているかどうかは、話している側の実感でわかります。

カウンセラーは話を聞きながらしっかり頭で考えているので、「なぜあなたはそう思ったのですか」と疑問に思ったことは尋ねます。

これはクライエントのことを細かく理解したいからです。
また、相槌の種類も豊富です。
クライエントに共感をしながら、話を聞いている証拠です。
返事が曖昧であったり、上の空であったりした場合は、話を聞いていない可能性があるので避けましょう。

(2)カウンセラー自身についての話はしない

カウンセラーは基本的に自分自身のことについては語りません。
なぜなら、カウンセリングはクライエントのためにあり、クライエントが自由に話し、表現し、体験することを目的としているからです。

また、カウンセリングではクライエントの話に耳を傾けることが中心となります。
何分間も自分の話をするカウンセラーには注意が必要です。
個人の電話番号やメールアドレスを教えたりするのは論外です。

ただし、例外があります。
カウンセラーが自分自身のことについて話をする時は、それが会話の中で出した方が自然であり、話すことでカウンセリングが良い方向に進むと判断される場合です。

(3)クライエントの話を否定しない

クライエントの話を肯定的に聞くことはカウンセラーの基本的態度です。
もし「それは違うのではないか」とカウンセラーが感じたら「あなたはそう思ったのですね」とクライエントの言葉を受け止めます。

  • 「それは違うと思う」
  • 「おかしいよ」

とカウンセラーが言えば、クライエントに

  • 「否定された」
  • 「また何か言われるのではないか」

という疑いの気持ちが生まれます。

カウンセリングを良い方向に進めるためには、カウンセラーとクライエントの信頼関係が重要な鍵になります。

はっきりと主張すべきこと(例えば、犯罪を想起させることなど)以外は、カウンセラーは否定の言葉は使いません。

(4)気分が安定しているか

クライエントと接している時、カウンセラーは安定した気分で話を聞く必要があります。
クライエントの気分は不安定でいることが多いです。
カウンセラーも同じ状態になれば、真剣に話を聞くことは困難になり、ただの言い争いになりかねません。
カウンセラーの気分は常に一定であるかどうか、チェックを行ってみましょう。

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精神科医や臨床心理士はストレスたまらない?

精神科医や臨床心理士でもストレスがたまります。

重い悩みを抱えたクライエントの話を聞くと、自分自身が巻き込まれ、気づかないうちにストレスを抱えているという事態も起きます。

例えば、感情的・暴力的な母親の元で育ち心理的な問題を抱えた女性のクライエントが来たとします。
彼女はやってくるなり、予約がしてあるのに待ち時間が長い、他の患者の声がうるさかった、ここの雰囲気が気に入らないといったことを感情的に責めるような言葉を投げつけてきます。

こちらには何も言わせまいとするので、意見も言えません。
そうすると、だんだん気分は落ち込み、無力感に襲われます。

このような場面では、普通の人は誰でも憂鬱とした気持ちになってしまいます。

精神科医・臨床心理士はこのような人に常に会っているので、普通の人よりもうつ状態になりやすい状況にいると言えるかもしれません。

精神科医・臨床心理士の人たちは、「相手の影響を受けすぎないこと」と「気持ちの切り替えをする能力を高めること」を大事にしています。

上記の例えで言うと、この女性の方は母親からされたことを他人にしています。
母親と同じように振る舞うことで、自らの欲求不満を満たしています。

これは、治療の過程の中でよく起こる現象です。

知識があれば「これが母親から与えられている感情なのだな」と理解することができ、一歩下がった視点から自分をみることができます。

そして、気持ちの切り替えも常日頃から行っています。
精神科医は多趣味な人が多い、とよく言われています。心を癒してくれる、好きなものを持つことで、オン・オフのスイッチを上手く切り替えているのだと考えられます。

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連携する病院もある

前述したように、精神科医は臨床心理士の領域である臨床心理学について、詳しくわかっていない場合があります。

なので、精神科医は臨床心理士に何を期待して良いのか、心理検査の特徴はどういったものなのか、把握できないことがしばしば起こります。
臨床心理士はより自らの役割を明確にする必要があります。

同様に、臨床心理士も精神医学についての知識は薄いため、誤解が生じてしまうことがあります。
そのため、双方はお互いの独自性について確認し、それぞれの観点・理解・見通しなどを話し合った上で、クライエントの支援をしていくという認識で業務を行っている病院もあります。

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